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あなたのことを知りたいのです
筋肉の付いた男性の腕はあまりに目に毒である。
このままだと永遠に観察してしまう。
櫻子は危機感を感じ、ふいっと横に視線を逸らす。
それから、地面に手を付き腕に力を入れ立ち上がったのだが、焦って立ったことでくらりとした体がバランスを崩し、後方へ傾いていく。
これではまた倒れてしまう。
衝撃に備えようと体に力を入れ、目をギュッと閉じたが、それはやってこない。
咄嗟に彼が手を櫻子の背に回し、抱き留めてくれたのだ。
おかげで倒れることは避けられた。
通常であれば、ホッとし彼から離れて礼をするところだろう。
しかし、櫻子は違った。
せっかく意識しまいと心したというのに、冷静でいられなくなる。
キャー!なんてこと、なんてことなの!!
「大丈夫ですか⁉」
密かに悶えてる櫻子を男性が心配そうに尋ねてくるが、何も答えられない。
櫻子は大丈夫な状態では、まったくなかった。
すぐ前にあるのは大好物。
そして逞しい筋肉に抱き留められるのは、妄想しているシチュエーションの中の一つ。
何て力強いの……!
頑丈な力こぶがたまらない……!
はむはむしたすぎる!
櫻子は、異常なほどに興奮していた。
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