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男性はというと、瞬きを多くし一つ二つ咳払いをした。
「俺の腕でよければいいですよ」
許可が下りたことに櫻子は舞い上がってしまう。
「あなたの腕がいいんですっ!」
反射的にはしゃいだ声で積極的な発言を口にして、さらにその腕を掴む手に力を入れてしまうほど。
男性は驚いたことで一瞬無言になったものの「そうですか、それならよかったです」とはにかむので「はい、嬉しいです(筋肉に触れられて)」と答えた。
その時の彼の耳は真っ赤であったが、胸を小躍りさせていた櫻子に気付く余裕はない。
「あの、このまま支えるので、よければどこか座れる場所に移動しましょうか?」
二人は明らかに通行人の邪魔をしている状態である。
気を利かせた彼の誘いにうんうんと首を縦に振り、お願いしますと筋肉に自身の腕をそっと絡めてみた。
男性の体がビクッとしたが、やめろとは拒まれなかったので、調子に乗った櫻子はそこに頬をさりげなく寄せた。
あぁ、なんていい感触なの!
スリスリしたいわ……!
固い筋肉を頬で感じることまででき、内心大喜びである。
もうしばらく筋肉を堪能できると思うとウキウキした。
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