不思議な先輩?

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不思議な先輩?

「……さて、お分かりですよね先輩?」  ある梅雨の、放課後のこと。  昇降口にて、隣に立つ男子生徒を見上げそう問い掛けます。端整な顔立ちで少し痩せ気味――そして、いつもぼんやり何処かを眺めている、ちょっぴり不思議な先輩です。  ともあれ、そんな(どんな?)私達の視界にはしとしとと降る雨。そして、生憎のこと私は傘を持っていません。となれば、もう答えなど言わ―― 「……ああ、これかな?」 「いや腹ぺこじゃねえんですよ」  すると、何を思ったのか彼が差し出したのは栗入りの美味しそうなどら焼き。いや食物を強請(ねだ)ったわけじゃねえんですよ。まあ、頂きますけども。  
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