不思議な先輩?

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「……ほら、ご覧の通り外は雨。そして、生憎のこと私は傘を持っていません。となれば――ほら、答えは一つでしょう?」  そう、ありがたくどら焼きを頂きつつ再び問い掛けます。うん、美味しい。特に、この栗が大変良いアクセントになっていて。うん、大変私好みの味です。  ともあれ、どら焼きを嗜みつつ返事を待つ私。まあ、もはや待つまでもな―― 「……うーん。でも、申し訳ないんだけど僕も持ってきてないんだよね、傘」 「なんで!? 天気予報は完全に雨だったでしょう!! どこもかしこも!!」 「……えっ? でも、それだけチェックしてるならどうして君は――」 「私は敢えて持ってきてないんです!!」 「敢えて!?」  先輩からの衝撃告白に、大いに驚愕し矢継ぎ早に言葉を放つ私。いや持ってきてないの!? だって、今日はどこもかしこも天気予報は雨、雨、雨で……いや、でもこの先輩(ひと)なら確認してない可能性もあるか。むしろ、どうしてそこに思い至らなかったのでしょう。……うん、迂闊でしたね。
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