不思議な先輩?

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「……いや、こんなことってあります?」 「……うん、流石に驚いたよね」  それから、およそ一時間。  善は急げとばかりに、なるべく雨にかからぬよう鞄で頭を覆いつつ駆け足でコンビニその他諸々の施設を梯子したのですが……なんと、今日に限って何処にも傘が置いていないという事態で。激安セールですっかり売れ切れだったり、不測の事態にて入荷できなかったりと、とにかく何処に行っても……いや、それにしても無さすぎでしょ。  ……さて、どうすべきか。幸い、まだ雨は止んでいないものの、この空模様(ようす)だとそれも時間の問題。……やはり、今日は諦めるしか―― 「――ねえ、玲音(れいん)ちゃん。もう一回、さっきのホームセンターに戻らない?」 「……へっ?」  そんな鬱々な思考の最中(さなか)、ふと降りてきた柔らかな先輩の声。……いや、別に良いんですけど……でも、隅々までチェックしたものの、確か何処にも―― 「――うん、傘は無かったよね。だから、材料を調達しようと思って」 「…………ん?」  すると、私の疑問に答えるようにそう話す先輩。そして、事もなげに微笑み言葉を紡ぎます。 「いや、無いんだったら作れば良いかなって」 「嘘でしょ!?」  
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