#3 正面の部屋

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#3 正面の部屋

自動人形(オートマタ)が向かっていった方向へついて行くと、そこにはそこまで広くない作業部屋のようなものだった 食堂よりは質素な部屋の作りとなっているようだ 部屋の中心には手術台みたいなものがあり、部屋の奥の方へ目を向けると椅子に女の子が座っていた 女の子の方へ近づくとその姿は異常なものだった そう……その少女には……両腕と両足がなかったのだ 零『この子…両腕と両足がないわ…』 アーノルド『…ただしっかり人間ってのも見て取れる』 そう話している私達を他所に自動人形(オートマタ)がこう話してくる 自動人形(オートマタ)『アナタタチニオネガイガアルノデス、カノジョヲツクリアゲテクダサイ。パーツハ、オナジサイズダッタラマァイイデショウ』 自動人形(オートマタ)は私達にそう言うと部屋の端に移動し、電源を落とすかのように動きを止めた 叶多『作り…あげる…?』 大牙『なんか…あれだな、人形を組み立てるみたいな言い方だな…』 零『確かにそうね…でもここも探索出来そうよ?』 アーノルド『見た感じ…さっきの少女と椅子…手術台…だろうか?』 大牙『じゃああれだな…俺とシバで椅子見てみるよ』 シバ『椅子…なんか匂う…』 アーノルド『じゃあ医者2人は少女を見てもらった方がいいかもしれないな』 零『私達…?』 アーノルド『医者目線でしか分からないところがあると思うんだ、我々が見たとしても…気づかないだろう…私は手術台を調べてみる』 零『…分かった。天馬さん、行きましょうか』 叶多『そうですね、そうしましょうか』 私は天馬さんと一緒に椅子に座っている少女に改めて目を向ける 触れても人の体温や鼓動は感じられない 異様な姿に"人形"かと思ったのだが、肌の感じや髪の質感を見ると人寄りの印象を受けた 零『改めて見るとしっかり人って印象があるわね…』 叶多『人形…というわけではなさそうですね…』 (見た感じ…これくらいかしら…) その刹那 大牙『うわぁぁぁぁ!?』 零・叶多『!?』 アーノルド『どうした御嶽(みたけ)!』 シバ『ん!』 シバがなにか咥えて引っ張り出した、それは…子供の【左腕】だった 零『えっ…左…腕…?』 叶多『あれ…この腕…あの少女と合うのでは…?』 アーノルド『ちょっといいか?』 零『アーノルドさん?』 アーノルド『あぁすまない、実は手術台を調べてみたんだが…メス、1本足りないんだ』 零『えっ?メスが?』 アーノルド『あぁ…しかも結構最近っぽい』 叶多『え…じゃあ私達の他に誰か…』 大牙『そう見てもいいだろうな』 零『とにかく、この左腕…縫合してみましょう…針と縫合用の糸はある?』 アーノルド『あぁここに、ほら』 零『ありがとう。天馬さん、少女の髪を上げてくれる?』 叶多『あ、はい!』 他の箇所を傷つけないよう、縫合を開始する 左腕だけの縫合…そこまで時間がかからないかしらね ………………………………… 零『…よし、これで大丈夫かしら』 縫合を終えたその瞬間、異様な光景が目に入る そう…縫合した糸がみるみると消えるように無くなり、腕が綺麗にくっついたのだ 叶多『…えっ?』 零『糸…え?消えた…わよね?』 アーノルド『縫合の糸ってそう簡単には無くならないと思うのだが…』 零『そのはず…例え縫合した後でも時間や日数経過で溶けるタイプだし…』 大牙『まぁでもこれで、ひとまず1つ目のパーツは付いたってことでいいんだよな?』 叶多『そうね…それでいいんじゃないかな?』 零『他に目ぼしいものは見当たらないし、他の部屋へ移動して探索する必要があるわね…』 アーノルド『他の扉は確か…左の部屋と右の部屋…』 零『そうね、順を追っての方がいいでしょうから …戻って左の部屋に行くのがいいんじゃないかしら?』 叶多『そうですね、私もその方がいいかと思います』 シバ『俺もさんせーだぞ』 大牙『俺も同じくだな』 アーノルド『九条が言うのならその方がいいだろう、そうしよう』 そうして私達は左腕が付いた少女を背に作業部屋を後にする 残りの部屋には一体何があるのか…未知数ではあるのだけど…調べてみない他には情報も何も無い 少女のパーツ、この世界の謎…知れることが増えていくといいのだけど………
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