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第一章
――気づいた時は、ママがたくさんいると思ってた。
お化粧品の匂い、香水のかかったリネンの匂い、代わる代わるに私にキスをして、ミルクっぽいものを飲んだり、吞まされたり。
そこが娼館だと気付いたのは視界が開けた生後八ヶ月くらいのときで、私がガーランド代わりにきゃっきゃと戯れていたのは、干してつるされた紐みたいなランジェリーだと気付いてしまった。
「あああああ!!!!」
「ちょっとロディーナ、ミミが泣いてる。ミルク足らないんじゃない?」
「びえええええええ」
「あー、ミミうっさいなあ」
ミミじゃありませーん!
ミルシェットですううう!
私が拾われたとき、産着を見て誰かがミルシェットって言ってましたからあ!!
「忙しいー、確かその辺にジュースの残りあるから飲ませといてー」
「りょうかーい」
りょ・う・か・い・じゃっ・なーい!!!!!
「びえええええええ」
「は? なんなん? 今朝まで全然言うこと聞いてたのになんなん?」
「反抗期なんじゃねーの? しらんけど」
「そっかーそろそろおっぱい出てきて客取れっかな」
「ははは」
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