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「……そう思うのは、自由です」
シトラスの言葉を聞きながら、クリフォードは聡い子だな、と思う。
クリフォードはシトラスら才能ある子を守るため、教育し、社会的な地位を与えた。
それらは彼らをもちろん助けた。けれど同時に反省もしていた。
才能があるからって、生まれ持って人と違うからって、優しい穏やかな暮らしを送れないのもまた、違う。
「フルーツポンチみたいに、世界で魔術師がごちゃまぜになってると、面白いと思いません?」
「え?」
「……魔術の世界はフルーツポンチなほうがいいんですよ。昔は平民も、当たり前のように魔術を使っていたそうです。どんな田舎にも魔女はいて、どんな町にも、頼れる魔術師がいた。もちろん宮廷魔術師もいたけれど、『魔術の力』が広く使われる世界では、『魔術』は決して、権力者にのみに与えられた暴力では無かった。……フルーツポンチのように、色んな場所で活用されるからこそ、人々は豊かに生きてきたのだと思っています。私は私なりに、面白おかしい世の中にしてみたいと思って、好き放題しているのですよ」
「はい。……先生の気持ち、わかりました」
風が吹く。
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