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「ハキハキしてて、いい子だったのにね」
――シトラスさんが宮廷に戻って、一週間。
少しずつ夏の陽気になる日が増えてきて、カフェでは毎日日替わりフルーツのフルーツポンチがみんなのテーブルを彩っている。
シトラスさんはすっかり皆に親しまれていたようだった。顔が綺麗なのはもちろんなこと、言葉遣いも綺麗で接客も丁寧で、模範的なホール担当だったのだ。
スレディバルの皆さんはいい人たちなので、事情は深く追及せず、シトラスさんのことも和やかな思い出話にしてくれていた。助かるでしゅ。
「よっと……」
フルーツポンチを可愛く盛り付けて、今日は猫さんの白玉団子も添える。
見ているだけで涼しげでかわいい。
他にも、コーヒーゼリーやアイスコーヒーも、どんどん注文が出るようになっていた。
「みっ! かわいくできまちた!」
「では運びますね」
「み!」
帰り際、「私に働かせすぎ」とシトラスさんが言っていた。
父親としてぐっさり刺さったのだろう、クリフォードさんが以前よりホールに出るようにもなった。
私はその背中をぼんやりと眺める。
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