プロローグ

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「いやいや、治癒魔法は貴族様のもの。魔術師はみな王都じゃないか」  カフェはまことしやかに話題を呼び、街の人の憩いの場になっている。  ――その一方。別の都市のスラム街では別の噂が。 「そういえば、あのマフィアのヤクはどうなったんだろうね。スラムで闇医者相手に流通していた、あの妙に安いポーションさ」 「最近見ないが捕まったんじゃないのかい? ポーション製造は懲役10年。魔術師様の既得権益を脅かすもんだから、たとえ訳ありでも重罪さ」  ――人は誰も知りません。噂を聞いても信じません。  マフィアのヤク密造の陰には、実は裏にふわふわ幼女がいたなんて。  ふわふわ幼女が遠い街で、違法ポーション作りの罪をばらすと脅されて、黒髪オーナーの養女にさせられていることは、誰も知らない秘密です。  メニューには本当に、がかけられていることも。  そして黒髪オーナーは、王都から逃げ出した、王国民なら誰でも知る、王国最強魔術師であることも。  美しい笑顔と容姿でありながら、クソクソクッソ腹黒やろーであることも。  全部、ぜーんぶ、秘密です。
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