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平穏の終わりである。ビッグボスのアジトは爆発炎上した。
別れ際、ビッグボスは私を逃がしてくれた。
「ビッグボス! しなないでくだしゃいー!」
「ミミ太郎、お前は逃げろ。逃げ先は世話してやらねえしピンチも助けてやらねえけど、状況落ち着いたら戻ってきて俺の金儲けに利用させろ、絶対逃がさねえからな。俺のタメに生き延びろ、金になれ」
「びえーっ!」
私は逃げた。ビッグボスが私の本名、ミルシェットを最後まで覚えてくれなかったのがせめてもの救いだった。
◇
そして逃げた私は、同じようにビッグボスの元から逃げた悪徳占い師のおばあさんに捕まり、スラム街の片隅で脱法ポーション作りをまたさせられることになった。流転の密造幼女である。
「ぴえー、さすがにこんな質の悪いクズ魔石じゃむりでしゅ! 聖水もないですし!」
「なんとかやるんだよっ! 巨万の富を築いていたじゃないかっ!」
「いたいいたい、みみをひっぱらないでくだしゃい」
そんな風に過ごしていると、当然簡単に足はつく。
悪徳占い師のばあさんと私は敵のマフィアと治安維持騎士団、その両方から追われる立場になった。
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