お縄になりますか、養女になりますか

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馬車は彼が乗ったのと同時に凄い速度でスラム街を抜けていく。 土煙が落ち着いたころには、馬車は市街地に出ていた。 「ここまで出れば安全ですね。まさか王宮魔術師御用達の馬車がスラム街にいたとは思いませんでしょう」 「お、おーきゅー……まじゅつ……」 彼は金の瞳を細めてにこっと笑う。 追われる容疑者でありマフィアの飼い猫。そんなものをスラム街で拾って有無を言わさず馬車に押し込んだ男。 王宮魔術師御用達の馬車。 さーっと血の気が引く。そして私は馬車の扉を空けようとした! カリカリカリカリ! 爪がひっかかる! 「おやおや、そこは爪とぎではありませんよ」 「にゃーっ! ゆるしてくだしゃいーっ! お願いーっ! 」 「こらこら逃げようと思っちゃあいけません。幼い女の子、しかも聖猫族で、密造ポーションの関係者として各方面から追われる身のあなたが、身一つでどうやって生き延びるのです」 「ああああなたが安全とも限りませんし……! そ、それに王宮魔術師御用達の馬車って」 「ああ、それについてはご安心ください。私今王宮魔術師ではありません、無職です」 「むしょっ……」
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