10人が本棚に入れています
本棚に追加
/45ページ
そして足を組み、対話の姿勢を取って穏やかに言った。
「改めまして。私は元王宮魔術師クリフォードと申します。今回はロディック・スターゲイザ――通称『ビックボス』の元で密造ポーションを作っていたあなたに、ご提案があってお迎えいたしました」
私はどきっとする。ビッグボスの本名は一部のブラザーしか知らない極秘情報だ。
私は膝でゴロゴロしているときに彼の懐中時計からちらっと見えた刻印で知っていたけれど。
「ミルシェットさんにお伺いしたい。あなたが密造ポーションを作っていたという噂は本当でしょうか?」
そして――彼は、私を本名で呼んだ。適当に呼ばれていたミミ太郎でもなく、ミミでもなく。
これはまずい相手だ。嘘偽りでごまかせる相手じゃない。
私は深呼吸をして、震える尻尾を握りしめ、彼の目を見て言った。
「はい。私が密造ポーションを作ってました。ビッグボスと周りのブラザーだけが知っていたことでしゅ」
「その作り方は、どうやって知ったのですか?」
「……いきるために、みつけました」
転生知識の事は話さないとしても、本当の言葉で彼に言った方がいいだろう。
最初のコメントを投稿しよう!