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捕まりたくない。でもこの人は本当に安全なのだろうか?
私は慎重なのだ。天使の笑顔で笑う悪魔なんて嫌というほど見てきた。だってこれでも、マフィアの最年少幹部だったので。えっへん。。
「……クリフォードさんのこと、教えてくだしゃいよ」
「私の事ですか?」
「はい。だってクリフォードさんがどんな人か知らないまま、親子になるなんてむずかしーです。だって、なんで私を選んだのか分からないし、怖いし、信用できないでしゅ」
「元宮廷魔術師は本当ですよ。事実、なんの不自由もさせていないでしょう? 身分証は捨ててきたので、証明できる者は他にありませんがね」
「……それ以外のことは?」
「言えません。あなたが今、親子契約を結ぶ前に、私の素性を知って私を売らないともかぎりません」
「にゃ」
さらっと、クリフォードさんは凄いことを言ってきた。
売れるような素性。訳あり。田舎に引っ込むの意味が、途端に変わってきた気がする。
金の瞳が、ふっと細くなった。
「そう。お互い様なのですよ、色々と訳ありなのは」
「……うさんくさすぎましゅ」
「でもあなたが娘になってくれるなら、不自由はさせません」
「あやしいにゃあ」
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