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怪しすぎるパパ志願者
うさんくさいアラサー男性、クリフォードさんに連れられた宿はいわゆるホテル。
貴族やお金持ちの商人の人が泊まるような、ルームサービスや広いベッドがあるすごいホテルだ。
圧倒的美しい世界に、私はこの世界にもリッツみたいなホテルがあるんだなと感動した。リッツに行けるような前世じゃなかったけど。
私はそこでルームサービスのお姉さんに、わしゃわしゃとお風呂で丹念に洗われた。
どす黒いお湯が出てくる、シラミだらけの子どもにも嫌な顔一つせず、彼女たちは私を綺麗にしてくれた。
「あらおかわいらしい」
思わず本音が漏れた、といった感じに、お姉さんたちは私を見て嬉しそうな顔を見せる。
髪を乾かして身なりを整え、姿見の前に立つ。
銀髪と銀しっぽ、緑の瞳に合わせた若草色のワンピース。襟や靴下、フリルは真っ白で、耳元を飾るリボンは青緑。
「わあ美少女」
鏡を見て呟く。久しぶりに見た、きちんと飾り立てられた自分だ。
ビッグボスとママたちに猫かわいがりされて飾り立てられていたころを思い出して、思わずうるっとしてしまう。
どんな最悪の生育環境であれ、なんだかんだ愛情たっぷりに育てられていたと信じている。
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