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食べながら、クリフォードさんは一方的に、時に私の質問に答えながら、色々話して聞かせてくれた。
私たちがいる街はケーラという。北に海、東に大河が面した大きな街だ。
けれどクリフォードさんが言うには、ケーラは国の中では西の外れにあり、規模としては10本の指に数えられるほどの街だという。
いわゆる政令指定都市くらいの感じなのかなと、私は自分の知識を更新した。
「街道沿いに少し行った場所に、知人に譲り受けた土地があるんですよ。水が綺麗で鍾乳洞もあって、タケノコも美味しい土地です。そこで、私はカフェでも営んでまったり第二の人生でも送ろうかと思っているのですよ」
「カフェ……」
「『』で故郷を失い、しばらく中央で官僚をしていた男が、亡き妻の残した愛娘と一緒に自然豊かな街で育児をする……美しい設定だと思いませんか?」
「設定って言ったとたん、クソ汚くなりましゅ」
そうは言いながらも、正直いいなあと思ってしまった。
今までと同じ街に暮らしていては、いつかまた誰かに捕まってしまう。
捕まりたくない。でもこの人は本当に安全なのだろうか?
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