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新しい我が家の町、スレディバルへ
翌日、馬車は数日をかけて政令指定都市的な規模のケーラから、山あいの街スレディバルまで向かった。
太陽の日差しを浴びたキラキラの新緑。街の中心を川が流れていて、気化熱で涼やかな風が吹き抜ける。
木造の三角屋根の家々には窓辺に花が飾られていて、のどかで素敵だ。
同時に、それでいて街道に通じた街なので、人の流れは活発で、市場は賑やかで若々しい。
ダンジョンもそれほど離れていないので冒険者もちらほらいるが、人数は多くない。よって治安も悪くなさそう。実に理想的な田舎町だ。
「あのアプリゲームの世界観、思い出すにゃあ……」
「どうしましたかミルシェットさん」
「なんでもないでしゅ」
私たちの家は街の中心から結構外れた、山道の上にあった。
前世で言うなら「わあ~!ジ○リに出てきそう!」と感想が出てきそうな、森の小さな一軒家だ。
「素敵な場所でしょう?私、あこがれだったんですよねー」
私よりうきうきとした様子で、クリフォードさんは一軒家の鍵を開ける。
中は既に掃除がされていた。カウンターキッチンにテーブルセットまで用意されている。
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