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「あらあら、そこで寝るのですか」
クリフォードさんの声が聞こえてくるけれど、体が動かない。幼女の体はきっと旅で疲れていたんだろう。
自分の部屋があって、そこで眠るって初めてだ。
上にそっと毛布をかけられるのを感じながら眠って、新居の初日は終わった。
◇
二階の住居で一緒に生活しながら、一階の細かな準備を進めていく日々が始まった。
朝食は初日に市場で買ってきたパン、お昼と夜は街に降りてご挨拶がてらに市場で買って。
私のやることは聖猫族らしくうにゃうにゃとうたた寝したり、クリフォードさんのお出かけに付き合うくらいだ。
クリフォードさんは一階のテーブルを最終調整したり、窓辺に透き通る綺麗なレースカーテンをかけたり、実に楽しそうに開店準備をしている。
「私も手伝いますよぉ」
そう言ったのだけど、クリフォードさんは私にはたらくように言うことはなかった。
クリフォードさんは鼻歌交じりに電球を磨きながら言う。
「あなたは保護されたての子猫なんです。新しいおうちの新生活で知らず知らずのうちに疲れてるんですから、そう気を遣わないの」
普通の幼女だったら、そうかもしれない。
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