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壁に飾り付けられたリースはドライフラワー。食事の匂いの邪魔をしない、すてきなものだ。
「クリフォードさん、おしゃれでしゅ」
「宮廷魔術師をやりながら、ずーっと夢想していたお店ですからね……ふふ、張り切りましたよ」
私はテーブルの一つに座る。
なんだか今までの人生が嘘みたいな気分だ。これから、楽しい日々が待っている。
「ところでミルシェットさん」
「にゃんでしょうか」
「今日実は、例のものが届いたのですよ」
「例のもの?」
「クズ魔石ですよ」
「にゃっ」
私は耳をぴんとたて、思わず腰を浮かす。
クリフォードさんはうんうんと頷く。
「もしよろしければ一度、どんな風に魔石ポーションを作っていらっしゃったのか、見せて貰ってもいいですか?」
「いいでしゅ。隠したいことでもないでしゅし」
私は椅子からぴょいと降りる。そしてクリフォードさんと一緒に住居の方へと上がる。
二階の奥の一室。そこにはテーブルと椅子、ご丁寧に私用の踏み台があった。
テーブルには各種小瓶が並べられている。下には、重たそうな木箱が床に置かれていた。
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