たくさんのママと『飼い猫』ミミ

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ちょっと臭い明らかに悪くなってるジュースを吞むのを必死に拒否しながら、私はどんどん覚醒していくのを感じた。 私は転生者。 前世の住所も電話番号も各種ログインパスワードもそらで言える。 私はよちっと気合いをいれてベビーベッド――代わりに使われているソファから身を起こし、大きな鏡に映る自分を見た。 ふわふわに広がった銀髪。大きな瞳は緑色。 肌は真っ白くて頬はばら色、頭の上からはぴょっこりとふさふさの猫耳がはえている。三毛だ。 「にゃっ」 お尻をふりふりすると、長いかぎしっぽがゆらゆらと揺れる。幸運をひっかけるかぎしっぽ。 わ~!私美少女の素質ある~!! 辺りを見回す。 脱ぎ散らかされたハデな服に化粧品の山、肌もあらわで煙草を吸うママたち。 見る人が見れば発狂しそうな生育環境で、私――ミミじゃなくてミルシェットは育てられていた。 あはは~!笑うしかない! 美少女だけど! 場末の娼館って! 「きゃっきゃっきゃ」 「鏡見て笑ってら。自分大好きじゃん、ミル」 「あんたはかわいーよねほんと」 ママたちが私を見ながらしみじみという。煙草を吸いながらだったりするけれど、皆の目はほんとに優しい。 そうだ。私は生母を知らない。 娼館の前に捨てられて泣いていたのを、売り飛ばそうとしたビッグボスを引き留めて、
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