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ママたちは私が代筆でお手紙を出すようになってから、リピーターが増えたしチップもふえたと大喜びだ。
読み書きができる女だと思われるだけで、ちょっとしたトラブルも回避できるらしい。
知は抑止力! 知は暴力!
私は本や雑誌を通じて、ママたちからは得られない世間の常識や情報を手に入れた。
有り難いことに子どもの発達段階に関する知識がザルな人間しか身の回りにいないので、私は当たり前のようにのびのびと新聞を読み、ママたちやお客さんの会話に耳を澄ませ、自分が置かれた状況で最大限の情報収集と努力を行えるのだ。
ママたちは優しいけれど、娼館育ちの捨て子、しかも聖猫族の美少女の明るい未来は絶望的だ。
貴族や大商人は獣耳の映えた種族をまず絶対養女にしないから、ママの上客にお迎えして貰える可能性はなし。
かといって中流階級から下層階級の家柄には、『大竜厄役』の爪痕が未だ残る時代に、余計な子どもを迎える余裕はなし。
じゃあママたちのように娼婦になるしかないのか――と言えば、実はそれも難しい。
ママたちはみんな人間だ。
獣耳がある人間は娼婦としてはゲテモノ。
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