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 カノルが耳元に顔を寄せた。吐息混じりの声が鼓膜をくすぐる。 「たくさん出ましたね。偉いですよ」  幼い子供を褒めるような声色だ。  ぼんやりしながらも喜びと羞恥が混ざり合って顔が熱を持った。  カノルは数回唇を吸った後、再び上半身を起こすと手のひらを弓治の下腹部に置いた。  へその下に置かれた手のひらからじわっと熱が伝わり、肌を通って何かが体の奥へ染み込んでいく。同時に手の隙間から光が漏れていた。 「熱い……っ、なに……?」 「害はないので安心してください。弓治が俺のだという印です」  熱くなった場所を指がなぞる。くすぐったく思いながら少し体を起こしてへその下を見ると、薄い黒色の模様が肌に刻まれていた。 「え……魔法紋?」 「ええ。まだ薄いので今から定着させます」    初めて見る魔法だった。マーキングみたいなものだろうか。  それに定着させるって何をするんだ? と思っていると、カノルが自分の服を脱いだ。  引き締まった上半身が視界に現れ、弓治は慌てたように視線をさまよわせた。  同性の上半身なんて日本で生きていたころ着替えやプールで何度も目にしたというのに、好きな人相手だと頬が熱を持って心臓が早鐘を打った。  カノルの手が弓治の足を持ち上げ、大きく開かせて間に体を入れた。  彼が人差し指をくいっと動かすと魔法で弓治の腰がベッドから浮いた。  驚いている間に腰の下に枕を置かれ、ゆっくり体が落ちて沈む。   ベッドから浮いた尻のあたりにカノルが手をやった。  温かい感覚の後、突如として尻の穴から中へかけて疼くような熱が広がった。 「——っ、はあっ……、カノル、なんか、変……っ」 「痛くないように中を魔法でほぐした感覚です。はじめは慣れないと思いますが怖がらなくて大丈夫ですよ」  柔らかな声で言った彼が優しく頭を撫でてくる。  少しだけ安心して体から力を抜くと、カノルが下に穿いているものを下ろした。硬くなっているそれを穴に押し当ててくる。  弓治は思わず息を止めた。 「……いいですか?」  初めて見る表情だった。穏やかに微笑みながらも切羽詰まったように眉を寄せている。  余裕がないのが見て取れて、嬉しさが緊張を溶かした。 「うん……カノルと一つになりたい」  カノルはその言葉を味わうように一拍あけてから腰を前に出した。  ゆっくり彼の一部が入ってくる。  魔法によって痛みは感じなかったが強烈な異物感に顔が歪んだ。 「〜〜っ」 「弓治、呼吸してください」 「っはあ……う、あ……っ、カノルの、大きすぎ……っ」 「痛いですか?」 「痛く、ない……ちょっと、苦しい、だけ……っ」  カノルが腰を止めて心配そうに覗き込んだ。  細めた目に宿る炎が揺らいでいた。  俺のために衝動を我慢してくれてる。それが嬉しくて「大丈夫」と無理やり口の端を持ち上げた。
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