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金沢観光2日目
大智が幼かった頃とは随分様変わりしたと言うひがし茶屋街。
「抹茶の店なんてなかったぞ!」
「まあまあ」
島崎が憤慨する大智を宥め振り返ると、金箔を口の周りにべったりと付けた辰巳と瀬尾が振り返った。
「なに仲良くソフトクリーム舐めてんだよ!」
「テレビで見ましたから」
「YouTubeで見た」
「おまえ等よくそんな暇があるな!」
「大智と違って要領が良いからな」
「どうせ俺は仕事が遅ぇよ!」
「大智は情が深すぎるんですよ」
「そうそう」
箔一 ソフトクリーム891円
金沢市東山1丁目15−4
2人が口に金箔を付けていたのは金箔ソフトクリーム、バニラのソフトクリームの半面に金箔が1枚張り付けられていたが物価の高騰で金箔の面積に変化が見られる。
「なら値上げすれば良いんじゃないですか?」
「891」
「891?」
「891円でハクイチ、会社の名前が箔一なんだよ」
「ぁあ、語呂合わせですか」
大智が「人、多すぎ!もう次行こうぜ!」と名残惜しそうにする3人の背中を押し浅野川向かいの茶屋街へと向かった。その街並みも新規参入店舗で様変わりしていたがひがしやま茶屋街よりは幾らかましだった。
「茶屋街が見てぇならそれらしい街を見せてやるよ」
「そうか」
バス停留所に向かう大智は面白い階段を登って行った。
「昔の旦那衆が隠れて茶屋街に向かった階段なんだよ」
「暗がり坂」
「それらしい名前ですね」
主計町
金沢市主計町3−15
暗がり坂
久保市神社から街灯も無い石段は花街へと続いていた。旦那衆は人目を避けて茶屋街に通い懇意にしている女性と遊ぶ。
「今も昔も変わらないんですねぇ」
「不倫不貞も横行していただろうな」
4人は深い溜め息を吐いた。
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