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昨夜までの疲れからか3人は浅い眠りの中に居た。すると瞼に黄色い太陽が映り、窓際席の瀬尾はその眩しさに目を開けた。通路側の辰巳と島崎は夢の中だ。
「おい!着いたぞ!」
瀬尾が島崎の肩を揺すると半ば眠気眼で「そこは違いますよ」と呟いた。如何やら此処は隣県の富山県だと言った。富山駅では何人もの外国人観光客が席を立った。台湾と欧米の観光客が多かった。
「なぁ、あの観光客間違えてないのか?」
「るるぶ情報では富山県には有名な鋳物の町もありますし、立山連峰が見えるスポットもあり」
「あり?」
「富山県、氷見市では新鮮な魚介類が水揚げされるんだそうですよ」
「金沢じゃないのか」
「どちらかと言えば富山湾近辺が良い漁場だそうです」
「え、そうなの?」
「はい」
「富山にはきときとと言う言葉があるんですが」
「あぁ、それは私も知っています」
「瀬尾さん、分かります?」
「全然想像も付かない」
「新鮮と言う意味らしいですよ」
「るるぶ、恐るべし」
「それで、富山の氷見港で水揚げされた魚が金沢市の寿司屋に並ぶそうです」
「あーーー、それで此処の駅で降りて寿司を食べるのか」
「観光客の方のリサーチ力には驚かされますね」
「だから、金沢市にきときと寿司って名前の廻転寿司屋もあるみたいです」
「ふーーーん」
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