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北陸新幹線は田園風景の中、防風林に囲まれた黒瓦の屋敷が点在する富山平野を走り抜け、源氏と平家の合戦が行われた倶利伽羅峠トンネルを突っ切った。暗闇の向こうから明かりが近付き3人は光に包まれた。
「ふおおおおおお!」
「これが金沢!」
「金沢城は見えますかね!」
「辰巳、意外とノリノリじゃねぇか」
「ふおおおおおお!」
3人は金沢駅到着のアナウンスが流れる前に座席を立つと駅弁のゴミを捨て荷物棚から旅行鞄を下ろすと鼻息を荒くした。
「来っつ、来ちゃいましたね!」
「来たな!」
「来ましたね」
島崎は座席に忘れ掛けたるるぶを取りに戻り慌てて降車の列に並んだ。ホームドアが開くと機械的な小鳥の囀りが響き渡り何処かで聞き覚えのあるシンセサイザーの曲が流れた。
「あれ、この曲どっかで」
「中田ヤスタカさんが作曲されたものだそうですよ」
「中田、ヤスタカ」
「へぇ!知らなかった!金沢市出身の方なんですね!」
確かに何処かで聞き覚えのある曲調。
「きゃりーぱみゅぱみゅさんをプロデュースした方ですね」
「きゃりーぱちゅぱちゅ」
「きゃりーぱみょぱみょ」
ピッ
るるぶを手にした3人は憧れの地、金沢に到着した。
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