憎悪と作戦

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 S国は民主国家である。国民の様々な意見を取り入れて、行政や司法等の改善や改革を行ってきた。また、交易が盛んであり、様々な国から物や技術を取り入れてきた。  こうして、S国は発展してきた。  一方、N国は独裁国家である。政府が国民の意見を取り入れることは、まずない。意見しようものなら、処罰されるのがオチである。国民の意見をろくに取り入れず、国家元首である総統の独断で政治を行っているものだから、行政等は旧態依然、下手すると昔よりも悪くなっているところがあるかもしれない。  そんなN国だから、他国から嫌われることが多く、まともな交流のある国の数は、S国よりもかなり少ない。  それゆえ、N国は産業も技術もあまり発展せず、ジリ貧に陥っている。  N国の言論統制が厳しいのは、言うまでもないのだが、それでもS国の(うわさ)はN国民の耳に入ってくる。例えば、ラジオやテレビの電波等、様々な形で。  その噂を聞いた民の中には、S国に亡命する者が多い。  亡命者は基本的に捕えることになっているのだが、全てを捕えることは無理であり、無事に亡命を果たしてしまった者は、一人や二人ではない。  S国に亡命した者は、S国のメディアを通じて、N国の惨状を訴え、それはやがて世界中に広まっていく。  こうした現状が、総統をはじめとしたN国の重鎮達にとっては、面白くなかった。
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