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風船およびその付属品は、鑑識に回された。
S国のあちこちに飛来していたのか、鑑識には同じようなものが多数届いていた。
鑑定の結果は、どれも同じだった。
風船、紐、ビニール袋、手紙、そして糞便と何匹かの寄生虫。
寄生虫は意図的に入れたというより、糞便の中に最初から入っていたのだろう。N国の貧しく、不衛生な食糧事情がうかがえる。
鑑識室では、鑑識官達が糞の山を前にして何やら話している。
「この大量の糞、始末が大変だな」
「そういえば、これを欲しがってる奴がいたな」
「確かにそんな話を聞いたな。国境近くに住む農家のおっさんらしい」
「そいつに全部渡しちまえば?」
「そうだな、そうしよう」
こうして、警察から大量の糞便が、ある農家のもとに送られることになった。
「わあ、こんなにたくさん!」
梱包されて大型トラックの荷台に大量に積み上げられた糞便を見て驚く農夫。その表情にはどこかしら喜びが垣間見える。
「おら一人じゃ、こんなにいらねえな……そうだ、みんなと分けよう! それがええ!」
こうして、警察から届けられた糞便は、国境近くの村に住む農家達全員で分けることになった。
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