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憎しみを込めて送り付けたはずだった
最初に糞便付き風船が送り付けられてから一年後。
S国内のあちらこちらで豊作を祝う祭りが開かれており、随所で神輿や仮装行列等を見ることができる。
S国は政治等により工業が発展した面もあるが、基本的には農業国であり、その技術力には目を見張るものがある。
N国からの多数の風船。
彼らはそれらに付いていた糞便を肥料にして、農業に利用した。
そのおかげか、今年は穀物、野菜、果物等、あらゆる農作物が豊作だった。
喜ぶS国民。もちろん、政府関係者も喜んだが、なぜか、豊作となった理由については、公にしていない。国民もまた、あまり口にしていない。
祭りが行われている間も、糞便付き風船は飛んでくる。
糞便付き風船は、落ちると、あまり時間がたたないうちに、農家の人間に持ち去られる。良い肥料にできることを知っているからである。
一方、N国では未だに総統の指揮命令のもと、糞便付き風船をS国に送り続けている。
「うううぅ~んっ! 一便入憎!!!」
総統は邸宅内にある豪奢な汲み取り式便所で、便器に腰かけながら、気合を入れて排便している。S国に送り付けるために。
彼は、N国民の糞便がS国でどのように扱われているのかを知らない。
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