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「じゃあ、私のどこが嫌なんだ?教えてくれ。ぜんぶ直すから」
「嫌なところなんて……ない。ぜんぶ、好きです。大好き。だって、好きな人ができたら、別れるって……そういう契約でしたよね?」
「そっ、……そういうことか〜〜〜!!!」
いきなり天を仰いだブラッドに、アクアはビクッと驚く。怒らせてしまった?と思ったものの、彼の言動が理解できない。なんか、予想していたのとは違うような……
涙も引っ込んだアクアが首をひねっていると、どうしてかブラッドに立つよう促された。もう一度姿勢を正した彼がアクアの手を握ったままひざまずいたので、さすがにこの状況はおかしいと焦る。
「えっ、なに?た、立って下さい」
「アクアが好きだ」
「!!」
「情けない話だが、君がいなくなってから気付いたんだ。私は、アクアがいないと毎日がつまらない。君以上に可愛いと思う人もいない。再会して、本当の……家族になりたいと思ったんだ」
これは夢だろうか。
アクアも彼と離れてからは毎日がつまらなかった。無味乾燥な日々を、こんなにもつらいと感じるなんて知らなかった。
いつの間にか心のなかで、ブラッドという存在は大きく育っていたのだ。
彼が同じことを感じていたのだと分かって、アクアは胸がいっぱいになる。
「じゃあ、これからもおれの旦那さまでいてくれる?」
「ああ、ずっとな。君も私の奥さんだ」
うれしい。旦那さま、大好き!そう告げてブラッドに抱きつくと、危なげなく受け止められた。そのまま彼が立ち上がったので、急に視界が高くなったアクアはちょっと戸惑う。
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