<4・地獄の一丁目。>

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 凄まじい悲鳴が木霊した。そう、恐ろしいことに、女性の腸はまだ彼女のお腹の中とつながっている。つまり神経が通っている状態で、内臓をじゅうじゅうとフライパンで焼かれているのだ。それがどれほどの恐怖で苦痛かなんて、想像もつかない。 『やだあああああああああ!おなが、おなかのながみ、やけじゃう、やげじゃ、あ、あああああ!』 『今までで一番いい声だぜ!ほらほらほらほら、もっと叫べよお!』 『があああああああ、あああああああああああああああああああああ!』  なんて惨い。マナは泣きながら、テーブルの影に隠れて嘔吐した。泣いたり吐いたりしている場合じゃない。気の毒だが、あの女性を今助けることはできない。まずは姉を救出した上で、ここで行われている蛮行を外の人達に知らせなければ。  マナが蹲っている間に、コルトが行動を起こしていた。勇者が一人の女性を拷問し、食べている今こそチャンスと考えたのだろう。 『おおおお、中につまったクソまで燻されてるぜ。ちょっと苦いけど、案外このスパイスもいけるかもなあ。もうちょっと醤油追加するか。じゅうーっと』 『ああ、ああああああああああああっ!!』  聞くに堪えないおぞましい言葉から耳を塞ぎつつ、マナも姉を探した。 『!お姉ちゃん……!』  幸い、姉を見つけるのは難しくなかった。姉はテーブルに拘束され、ぐったりしている。その姿を見てマナは絶句した。  彼女も全裸だったが、それだけではない。  豊かな胸の左半分が、綺麗にそぎ落とされてなくなっている。傍には、彼女の胸を使ったのであろう、乳首や乳房の姿がそのまま残った残酷な“ステーキ”が皿に盛られていた。 『ううう、痛い、うううう、ううううっ』 『お姉ちゃん、しっかりして!今、今助けるから!』 『ま。マナ……?それに、コルトさん、も?』 『ああ、なんてひどい!今拘束を解くからな……!』  その拘束具は、魔封じの縄でできているようだった。これで縛られるとすべての者は魔法を一時的に封印されてしまうのである。  幸い、マナとコルトは護身用ナイフを持ってきていた。二人で力を合わせれば、どうにか彼女の両手両足の縄を解くことは可能だったのである。  しかし。 『ん、んんん?』  このまま脱出、なんてそうは問屋が卸さなかった。ボロボロの姉の体を支えて出口へ向かおうとしたマナたちの前に、勇者アガネが立ち塞がったのである。 『おいおい、何勝手なことしてんだあ?家畜の分際で』 『ゆ、勇者アガネ!お前……ああああっ!』
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