7 駆け引き

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* * * 「………寝るわ」 「……は、」 「おやすみ」 「……えぇ??」 離れた後、中條君を見つめたまま惚けていた私に、背を向けて放たれた言葉がこれ。 唖然とする私をよそに、彼は少しもこちらを向くことなく、あっという間に寝息を立てて眠ってしまった。 そっか…。 きっとこいつと私じゃ、キスの重みが違うんだ。 毎回、相手が違うようなクズ男にとって、キスなんて当たり前で、究極、握手みたいなものなのかもしれない。 分かりきっていることだったのに、胸の底がギュッと絞られるように痛んだ。 …………なによこれ。非常に不本意だ。 いいのよ。それならそれで結構。私にとっても意味なんかないんだから! これは、こんな奴に心が動いてしまった私の失態。………もう忘れよう! きれいさっぱり片付けようとする私の思考とは裏腹に、胸の疼きは収まらない。 入念にクズ対策もしたはずなのに…、結局、文句を言うことも、ぶっとばすこともできそうになかった…。 《7章 駆け引き》
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