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1 同期の男はクズ野郎
―――某高級ホテルの一室
「……っあの、……まってっ」
「かわいーね、麻里ちゃん。どうする?自分で脱ぐ?それとも、俺が脱がしていい?スーツ着たままっていうのも背徳感煽られていいけどね」
「……だめっ、……待って。私、そういうつもりじゃなくて…」
「ああ、いいね。とりあえず拒んどく体も嫌いじゃねーよ」
じりじりと追い詰められ、ベッドの上で体勢を崩すと、さらりと上質なシーツが肌に触れた。
………どうしよう。逃げ場が、ない。
獲物を仕留めるように切れ長の目がすっと細まったのを見て、背筋がぞくりと震えた。
「そ、うじゃないの。わ、私……っ」
「なあに?焦らしてるつもり?何したって可愛いけどね…」
「違うって……っ、だめなの!むりなの!……本気でダメ!!!」
思い切って言葉を遮り、目の前に迫る男の隙をついてベッドからダイブする。
まだ靴を脱いでいなかったのが不幸中の幸い。
まるで命でも取られそうな状況から逃げ出すように、死に物狂いでドアに向かって走った。
奴の顔も、周りを見る余裕も全然なくて、かろうじて視界に入った自分の鞄を引っ掴んで部屋を出た。
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