134人が本棚に入れています
本棚に追加
挑発的な流し目を向けた中條君に、莉乃が不満げに言い返すと、桜井チーフが穏やかにたしなめた。
「冗談ですよ。彼氏持ちに手ぇ出すほど困ってないんで」
「本気になれない男の言うことなんて信じられないでしょ。お前の総務での評判酷いよ？少しは自重したら？」
「終業後に何をしようが自由じゃないですか。仕事に支障はきたしていませんし」
「その理屈から言うと、今は勤務時間中なんだよね。理解したなら、はやく仕事に戻りなさい？」
…………わあ、お見事。
あっさりと中條を黙らせた桜井チーフの対応が素晴らしい。
そうだよ。このまま持ち場に戻ってくれたら、奇跡的に顔を合わせずに済む………はずだったのに………、
「外回りが終わったなら、次は会議の準備しといてね。配布資料は佐原さんに印刷お願いしてるから」
――――と。
突然、私の名前が出てくるから、一気に絶望的な状況に陥った。
最初のコメントを投稿しよう！