7 駆け引き

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何か言おうとしたのに、何て言おうとしたのか分からなくなるくらいには、頭が真っ白になっているみたい…。 何も言えずに、ただただ視線を逸らした彼の顔を、じっと見つめたままで静止した。 ――――お互いに喋らない。 これなに?何の時間なの?? この無音の空間に耐えきれなくなって、苦し紛れに繋がれた手に目線を向けた。 ………やっぱり。しっかりと握り込まれていますけど?? 意識がそこに集中する。 熱をもつ。 トクントクン…と心音が加速する。 止める術を持たないから、速まるだけ速まって、いたるところで警笛を鳴らして走っていく。
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