7 駆け引き

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一方で、頭の片隅には冷静な私も存在していた。 だけど…、冷静なはずなのに…。 「応えてみれば?」なんて、そそのかすのは悪い自分。 そそのかされるのは、きっと…、良い子の振りをした自分に違いない。  体温を分かち合い、既に同じ温度になった二人の掌は一方的に重ねられて絡み合う。 ―――相手は手練れたクズ男。 どうせ弄ばれるのなら、一矢報いたいと思った。 だから…、これはほんの出来心。 重なり合った手に、力を込める。 ぎゅっと。 握り返してみる。 彼を見つめる。 眼差しに熱を込めて。 彼の瞳の奥が揺れた気がした。 気がした…のは、次の瞬間、私を見つめ返した中條君が、何かを悟ったような笑みを浮かべていたからで――――…。
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