7 駆け引き

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ぐんっと、引っ張られて近づいた。 でも、これは物理的に―――。 彼の顔が間近に迫る。 目線の先には、お互いの間で繋がる手。 絡め取られた指先が彼の指によってそっと撫でられた。 「なんでだと思う?この手も…、離したくないんだわ」 ここで彼の言う駆け引き(・・・・)をするのなら、手に入りそうで入らない、そんな距離感でいるのが正しいはずなのに…。 ぐらぐらと揺れる。 必死に保つ。 だけど、それも、「なぁ…、麻里ちゃん。教えてよ?」と耳元で甘く囁かれるだけで、もうダメだった。 ガラガラと崩れていく――――…。 落ちないなんて、難しい。 でも、これに応えてしまえば、その後は、私の手を取るあなたはいないんでしょう?
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