7 駆け引き

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自分からは何も言わなかった。 言わないように、唇をきつく結ぶので精一杯だった。 勝った――…とでも、思った? そんな私を見つめて、緩やかに、ほくそ笑んだ彼を見てそう思った。 どうしようもなく悔しいと思ったのに…、彼の切れ長の目があまりにも柔らかく弛むから、見つめ合ったまま、動けなくなった。 「やっぱかわいいわ…」 「……え?」 「麻里ちゃん」 「は…」 唐突な発言の意味が分からない。 脈絡なく、どうした? いや、それ以前に、さっきからなんで急に麻里ちゃん呼びなのよ??? ツッコミどころは満載なんだけど、ポンと優しく落とされた声の破壊力がすごすぎて、今までの流れの記憶が全部吹き飛んでしまった。
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