2 翌朝の失態

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「おはようございます、佐原さん」 「………お、はよぅ」 ………っ、はやいのよ。 振り向けない………けど、デスクの後ろに立った中條君に全神経が集中する。 だけど、彼はなんてこともなく。その様子は至って普通で……、 「配布資料どこ?」 「あ……まだ、印刷途中で…」 私が言い終えるよりも先に、プリンターから出てきたものを手に取ると、パラパラと捲って目を通し始めた。 気になってチラリと顔色伺うと、非常に真剣な表情。 これを見る限り、昨日のことなんてなかったみたいに……というよりも、元々、私のことなんて視界に入ってもいない様子。 なんだか複雑な心境ではあるけれど、それよりも、よかったー…と、ほっと胸を撫で下ろしかけたところ、彼の眉間に皺が寄るから、反射的にギクリとした。
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