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8 中條side(2)
「なんで帰んねぇかな…」
いや…、帰ってほしくなかったのは俺なんだけど。
思い返せば、無理矢理引き留めた自覚はある。
ついでに必死に我慢した不本意な記憶も……、ないわけじゃない。
目が覚めると、まだ朝の5時――。
腰のあたりに違和感を覚えて覗き込んだ俺の横には、ベッドの脇に頭をもたれて寝ている佐原さんの姿があった。
すやすやと眠る、純粋無垢で無防備な寝顔を前に、一瞬、体が固まった。
「可愛すぎだろ…」
やばいな…、いつまででも見ていられるわ。
いや…、それは嘘だった。
見てるだけは無理だわ。
せっかく寝てるのに触らないとかないだろ。
え、最低?ああ、そうだよ。なんとでも言え。
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