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自由気ままにやりたいから。
だから、そんな彼女相手に“駆け引き”なんて、端からできる気がしなかった。
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「なんでこんな馬鹿みたいに飲んだのか…、なんでここまで必死に引き留めてんのか…、なんでたかが手を握ったくらいで、こんなになってんのか…、正直、全然分かんねぇ」
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本気で分からなくて言ったっけ?
――――まさか。
どんな反応が欲しかった?
――――知らね。
理解して認めてしまえば…、期待している感情を向けられてしまえば…、自分が困るくせに…。
目的がないままの駆け引き。
うわべだけを装って。
気持ちのままに振る舞って。かっこつけて。
あんなのただの、苦し紛れでしかなかった―――――…。
《8章 中條side(2)》
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