9 クズで馬鹿で嘘つき

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パニックになって叫んだ私に、「うるせぇ…、起きて早々元気だな」と、呆れたような声がとんできた。不本意だ。 「なぁ、昨日のこと覚えてる?」 「昨日?えっと、昨日は…」 覚えてるわよ。べつに何も忘れてないはず。 記憶を昨日の日中あたりまで巻き戻す。ただし、中條君と話したのは懇親会が初めてだったと思うから………、 「お酒…、私の分まで飲んでくれてありがとう」 「そこから始まるんだ?」 「中條君をここまで連れて帰ったのは気にしないで。こうなったのは私のせいでもあるし…」 「や…、まじで助かったよ。おかげで二日酔いもないし、今度お礼に何か…」 「え、じゃあ、駅前のフルーツタルト…」 「並ばねぇって言ってんだろ」
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