2 翌朝の失態

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と同時に、背後から人の気配が消えたのを感じて、恐る恐る彼の方をチラ見すると、プリンターの前まで歩いて行き、書類の束を掴んで戻ってくる。 何も言われないのも逆に怖いんですけど…。 例えば、これが桜井チーフなら、「そんなに気にしなくていいよ。次から気を付けてね」みたいな言葉を慰めるように優しく掛けてくれるんだと思う。 だけど、現実は優しい優しい桜井チーフじゃなくてあの中條君なわけで………、 「これ、無駄になったやつな」 ―――と、目の前に突きつけられたのは、先程、間違えて印刷した資料。 こんなの、そのままにしといてくれたらいいのに、わざわざ「社外秘だから、処分しといて」と手渡してくるから、「すみません…」と俯いたまま受け取るしかなかった。
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