9 クズで馬鹿で嘘つき

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応戦するも、手加減されているとしても(してなきゃ、今度、背後からぶっとばしてやろうと思う)成人男性の力に勝てるはずもない。 それに、この後の質問が、突如、和やかすぎて油断した……のかもしれない。 「なぁ、グラタン好き?」 「え?」 「同期会なんかで見る感じ、和食よりは洋食が好きなのかな?と思ったんだけど」 「え……うん、まぁ…どちらかといえば…」 「よかった。じゃ、焼けるまで時間かかるから、入ってこいよ。ごゆっくり」 「え、ちょっと…っ」 「あと…、スープすげーうまかった。ありがとう」 「―――っ!!」 勢いよく畳みかけられて、反論する隙もないまま、バタンと閉まる扉を見送った――――っ…。
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