2 翌朝の失態

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「あのさ、後でパワポも送るから。悪いけど、全部印刷したら、会議室に持ってきてくれる?」 「…わかった」 意外にもこの後は特別怒られることもなく、淡々と次の指示をくれる。 予測不能すぎてまだまだ怯えてしまうけど、もしかしたら、先週の桜井チーフの注意のおかげ&反省を踏まえて、人として優しくなったのかもしれない。 なによりも、ここで昨日のことに触れるつもりはないみたいで本当によかったー…と心から安堵していたところ、 「集中できないことでもありました?」 「……えっ?」 「さっきから他のことばかり考えているみたいですけど」 「……っ」 首を傾げて覗き込まれる。 切れ長の目が私を捉えて、じっと見つめられるから、頭は真っ白になって。 なのに、どういうわけか顔が火照ってしまって、私、今どんな顔してるんだろう…って。
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