3 クズの本性

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その後に「おせぇ、何してんの?」と続けば、正直に会議室が分からないとは言いづらくなる。 「ごめん…、今、5階には来てるんだけど…」 「もう着く?」 「それがね…、もう少しのところまで来たけど、まだまだ着きそうにないっていうか…」 「はぁ?」 「つまりは、その…、………迷った…みたい?」 「………」 うわぁ…、無言が何よりも怖いんですけど。 うん、分かるよ。 思ってること全部、手に取るように分かるんだけど………、なんなら、次に飛び出しそうな言葉も全部、分かる気がする…。 「今どこ?」 「わからない…、えっと…、給湯室が見えてて…」 「すぐ行く」 動かずにそこにいて…と電話が切れた。 静かになった携帯を手に持ったまま、そっか…。会議室がどこか分からないと思った時点で電話すればよかったのか……と、今更、気付いて反省…。
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