3 クズの本性

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「佐原さん」 すぐに呼ばれた声に振り返ると、中條君が息を切らせて走ってくる。 「遅くなってごめんね、あの…」 「そういうの後でいい。とにかく頂戴」 「あ、はい。でも、会議…」 「始まってるから、それじゃ…」 資料の束を受け取ると、踵を返して全速力でもと来た道を戻っていく。 はやっ…。 あっという間に小さくなった背中を見送って、ずん…っと、心が重くなった。 あーあ…、また失敗しちゃった…。 だめだなぁ…。 不純な動機で、自分の実力以上の会社に入社してしまった報いなのかもしれない。 頑張ればなんとかなると思ったけど、考えが甘かった。 結局、私って何もできないんだよね…。迷惑かけてばっかじゃん…。 結構本気で気合いを入れていただけに、心が折れそうだ。 泣きたくなる気持ちを抑えて、ひたすらに帰り道を探した。
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