4.庄屋の息子(4)

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4.庄屋の息子(4)

 慌てて追いかけようとする藤吉の腕を、田之介は強く(つか)みます。 「おい藤吉。いつまであの余所者(よそもの)、置いとくつもりだよ。村で噂になってんだぞ、あの妙な女が来てから日照りが続いてるって。気づいただろ? 俺があいつを無視してたこと」  藤吉は急に激しい怒りの声を上げました。 「妙なこと言うな、田之介……! 日照りが、日照りが伽耶のせいだなんて……! それに、伽耶はもう余所者なんかじゃねぇ、おらと伽耶はもう……夫婦と同じなんだ、だから、だから……!」  いつになく(たかぶ)り過ぎたのでしょう、藤吉は妙に白くなった顔に脂汗をかき、その場に座り込んでしまいます。   田之介は慌てて藤吉に駆け寄り、着物越しに背中をさすりました。  そんなつもりは無かったのにと、どこかでこんがらかった己の態度を()いる気持ちがあったのです。
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