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4.庄屋の息子(5)
ところがどうしたことでしょう、藤吉の顔色はますます青ざめて、あげくの果てには痛ぇよ、やめてくれと田之介を払いのけるではありませんか。
撫でたのを痛がるなんて、背中に傷でもあるのだろうか。
田之介は藤吉のことが心配でたまりません。
見せてみろ、と藤吉に迫ります。
「嫌だよ……おらじゃ見えねぇが、妙に着物が引っかかって痛ぇだけだ。きっと山でかぶれたんだろ」
いいから言うこと聞け、と引かぬ田之介に、しぶしぶ袖から腕を引き抜き、藤吉は背を露わにします。
「……!」
田之介は言葉を失いました。
藤吉の背中は固く乾き、鱗のようなものがびっしりと広がっていたのです。
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