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5.伽耶(2)
けれども伽耶の中で、何かが叫ぶのです。
知っていた。
雨雲が消えたことも、藤吉さんの体が変わり始めたことも――みんな知っていた。
だけど、それの何が悪いのだろう。
一体何が、間違っているのだろう。
わたしは藤吉さんの全てが欲しい。
そのためならば、それ以外のことなんか、どうだって――。
伽耶は、はっと口元を押さえました。
汚れてしまったのだと、哀しい思いがいたしました。
今のわたしは以前のように雨を操れるのだろうかと、不安な気持ちが伽耶の胸をぎゅっと掴みます。
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