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5.伽耶(3)
けれども突然響いた大きな音が、伽耶の思いを遮りました。
荒々しく開け放たれた戸の向こうには、村の男たちが立っています。
「……ふん。逃げ出すつもりだったのか」
先頭に立つのは、田之介でございます。
「俺は知ってるぞ、お前が藤吉をたぶらかす、妖だってことを……!」
村を出て行け、と田之介は叫びます。
出て行け、出て行け、妖め……!
男たちは田之介に声を合わせながら、手にした鎌や鍬を恐ろしげに振り上げたのでした。
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